私は慶尚道(경상도)に住んだことがあるのですが、そこは韓国でも方言の強い地域です。韓国第二の都市プサン(부산)が日本海沿いにひかえ、歴史のある慶州市(경주시)、広域市*1に指定された都市である大邱市(대구시)、蔚山市(울산시)そしてその他多くの都市が慶尚道の文化圏を形成しています。慶尚道は朝鮮半島を南北に分断する山脈によって、ソウル方言や慶畿道(경기도)方言とは異なった方言が発展してきました。
前置きはさておき、慶尚道で韓国語を聞いて驚くことの一つが、彼らが言う疑問文にあります。
1.니 어디 가노?(標準語:너 어디 가냐?)
2.니 어디 가나?(標準語:너 어디 가냐?)
1 と2の文は文末の些細な違いでしかありませんし、標準語ではまったく同じ形になってしまいます。1,2をそれぞれ日本語に訳すと「1:どこに行くのか?」
「2:どこか行くのか?」と意味が変わってきます。もし、1の「니 어디 가노?」と聞かれたら、「どこどこに行く」と行き先を答えるのが自然で、2の「니
어디 가나?」のような質問を受けたら、「うん、ちょっとね」とか「いや、どこにも行かないよ」とするのが言葉のキャッチボールが成り立つ答え方です。
-노と-나には次のような厳密な使い分けがあります。
①説明疑問文;つまり「どこ」「だれ」「何」「なぜ」などの疑問詞を含む文では、노を使います。
②叙述疑問文;「はい」や「いいえ」で答えることがえきる疑問文では、나を使います。
-노の例
뭐라카노?(뭐라고 하냐?; 何と言っているか?)[聞き返し]
지금은 어디 사노?(지금은 어디 사냐?; 今はどこに住んでいるか?)
우짜노.(어떡해.; どうしよう)
-나の例
내일도 학교 가나?(내일도 학교 가냐?; 明日も学校に行くのか?)
밥 먹었나?(밥 먹었냐?; ごはん食べた?)[挨拶]
どうでしょうか。慶尚道の人とソウル方言で話すのと慶尚道方言で話すとでは、親近感の持たれ方が全然違います。もし、慶尚道の人に会ったら、-노と-나をうまく使いこなして話して見るのもいいかも知れませんね。
*1 日本で言う政令指定都市にあたる
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